現役の越境ECコンサルタントが案内する実践的な海外向けネットショップ開業ガイド|クロスボーダー eCommerce

越境ECにおけるデジタルマーケティング概要

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おはようございます。暑い、暑いです。猛暑です。それしか言えません。。前回までの投稿では、越境ECを開業するにあたっての考慮するべきこと、準備すること、お店が開店してから、どう実際に運営されていくのかについて整理してきました。決済とか税金とか配送とか主にEコマースを支えるバックエンド系の話しでした。

売る体制を整えた後は、どう売上を伸ばしていくかにフォーカスしていくことになります。言わずもがなマーケティングの話しです。海外では皆無に近い自社製品の認知度を上げて、実際のコンバージョンに辿りつくためには、相当工夫をしてマーケティングを行う必要があるわけです。日本でのセールスプロモーション成功経験が海外向けに通用するとは限りません。もちろん日本での手法が通ずることもありますが、アウト・イン(海外から日本へ進出ケース)、イン・アウト(日本から海外へ進出するケース)の両方を見ています筆者の個人的な考えでは、マーケティングに関しては「ターゲットの国ごとに最適化しないとあまり効果は得られない」というのが実感です。唯一、最も言語人口が多い英語でのFacebook等のSNSマーケティングは世界一律にやっても効果がありそうな感じだとは思っていますが。。

海外向けデジタルマーケティングは新しい分野ですので、一概に成功法則はありませんが、ある程度共通して言えること、越境ECにおけるデジタルマーケティングのポイントを下記に整理してみようと思います。

1. サイトデザインを統一にするか国ごとに変えるか

最近の欧米のWebデザインはネットショップサイトも含めて、とってもシンプルであっさりしています。トップページには写真がどーんと大きく表示されていて、ポップなどはあまり使われていません。とにかくテキストが少ないと思います。最小限のテキストで製品説明や購入手続きについては記載がありますが、日本人からすると情報量が足りないと感じる方も多いのではないでしょうか。

一方、日本のネットショップサイトはコンテンツが整理整頓されていて、テキスト量も多く、製品のキャッチフレーズ、キャンペーンなどに非常に目立つポップが多用されています。製品の良さ、特長、使い方などを説明するために図柄を多用するのも日本サイトならではの特徴だと思います。デザイン性においてシンプルを追求するのではなく、賑わい感が出てるサイトのほうが好まれる傾向があるのだと思います。

越境ECでサイトを作成する場合、英語圏の国を対象に英語のみで作成するケースと多言語(ドイツ語・フランス語・中国語・インドネシア語・韓国語等)で作成するケースが一般的にあります。その時、統一したサイトデザインにするか、国や地域ごとに異なるテイストにするかの2択があり、企業の戦略によってまちまちです。ブランドを大切にする企業(例えば、アップル)は世界統一のサイトデザインを採用しています。一方、国ごとにローカライズを重視している企業は地域ごとにデザインを変えています。例えば、楽天では日本サイトと米国サイトでは異なるルック&フィールを出しています。米国サイトは日本に比べるとずいぶんスッキリしている印象です。

欧米はシンプル系、日本を含むアジア圏(オーストラリア・ニュージランドは除く)は日本スタイルのようなテイストが好まれる傾向があると思います。

2. キャッチフレーズを対象国向けにカスタマイズ

Eコマース上に掲載する製品のキャッチコピーは、潜在購入者を惹きつける重要なマーケティングツールです。製品に興味を持ってくれるかどうか、これで決まるといっても過言ではありません。アドワード等のPPC広告を活用する場合でも同様です。サイトデザイン同様、日本で通用するキャッチフレーズ・コピーで海外の消費者も惹きつけられると思ったら、間違いを起こします。日本へEコマース参入する外資系企業で同じ間違いを起こしている現場を何度も私は見ています。

日本では、「日本No1で売れている○○」とか「累計100万本売れている○○」とか「コンテストで金賞受賞した○○」とか、多数の他人が買っているから的なコピーを実際使っているケースが多数あり、それにつられて購入する方もたくさんいらっしゃいます。日本人ならでは民族性、「模倣性」を見事につかんだキャッチです。これを海外、特に欧米で行うと大抵の場合、失敗します。欧米は個人主義が発達していますので、周りの方が買ったから、自分もそれをやる、という考え方はしません。機能や品質や価値感が自分にあうと思えば購入する。それだけです。

一方、世界共通のフレーズを採用しているグローバル企業もたくさんあります。ナイキの” Just Do IT “などがそうです。コーポレートレベルのフレーズは世界統一していても、個々の製品のキャッチコピーは現地市場に合わせて変えている例もよくあります。最低限、遵守すべきことは、そのキャフレーズ・コピーがターゲット国において、「社会常識上、失礼にならないこと、全く的外れではないこと」を事前に確認するということです。その上で、その国の社会通念、慣習、市場を理解しているネイティブスピーカーに心に響くキャッチ作成のサポートをしていただくことがよろしいかと思います。

3. 国ごとに変わる有効なデジタルマーケティング手法

デジタルマーケティング手法は実に様々な方法があるのはご存知のとおりです。SEO、アドワーズ等のキーワード広告、アフィリエイト、SNS、Eメールマーケティング、ディスプレイ広告、動画広告、最近流行しつつあるリターゲティング(Re-Targeting)などなど、次々と新しいテクノロジーや手法が開発されてきています。

製品特性、自社のポジショニング、ブランド認知度、競合などを鑑み、ベストなマーケティングツールミックスを探してしていくわけで、これは世界共通であろうかと思います。ただ、越境ECや海外向けにデジタルマーケティング行うときは、ターゲット国ごとにこれらツール活用の強弱のつけ方を変える必要がでてきます。

例えば、日本では自然検索によるSEO対策に重点が置かれおり、上位ほどコンバージョン(購入)につながりやすいと考えられていますが、米国では自然検索で上位にランクされるよりも、アドワーズのキーワード広告から購入される確率のほうが高いというデータがあります。また中国・韓国・台湾・東南アジア地域ではSNSや口コミサイトでの人から人への伝播のほうが遥かに日本よりも効果が出やすいという傾向にあります。

4. 国によって異なるメジャーなメディア媒体

日本でキーワード広告といえば、グーグルかYahoo!ですよね。これが国によって違います。グーグルは世界中の大抵の国ではメジャーな媒体ですが、例えば、中国では百度は外せませんし、ロシアではYandexです。アフィリエイトネットワークにおいては、日本はA8・バリューコマース・リンクシェア等がメジャープレーヤーですが、EUではZanox・Commission Junction、中華圏(中国・香港・台湾)であれば、Chinese Affiliate Networkなどが外せないところかと思われます。楽天が買収したリンクシェアは元々、米国でも大手のアフィリエイトネットワークなので、北米やヨーロッパでもプレゼンスを発揮しています。このようにターゲットの国ごとに適切なメディアを選択する必要があります。

5. ネイティブスピーカーに運用を任せるのが一番

実際のオペレーションを誰にやってもらうのかベストなのでしょうか? ビジネスレベルの英語力を持った日本人(日本に居住)がイギリス向けのネットショップで、平均以上のマーケティングパフォーマンスを発揮できるでしょうか? まず難しいと思います。英語力がある程度あっても、マーケティングメッセージを作るのに必要な細かいニュアンスや言い回しまで表現できるかといえば、必ずしもそうではありません。現地の商習慣、慣習、社会常識、市場、感性を肌感覚で理解できる人、現地のマジョリティーと同じ感情や考え方を持てる人、すなわちネイティブスピーカーではないと、心に響くフレーズ、コピー、製品説明はなかなか生み出すことは難しいです。逆も然りです。2年程度日本への留学経験がある外国人の方に、それを作れと言っても難しいのと同じです。ですので、ターゲット国のネイティブスピーカでマーケティング経験のある方を採用したり、現地のエージェンシーを委託するのが、コストはかかっても効果的なキャンペーンが実施できるかと思います。

以上、海外向けデジタルマーケティングにおいて抑えておくべき、基本ポイント5点をご紹介しましたが、いづれ地域ごと、国ごとに詳細をご紹介したいと思っています。

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