22 Jul 2015

おはようございます。前回の投稿から時間が空いてしまい、梅雨も明けました。10代・20代の頃は夏は一番好きな季節でしたが、アラフォーとなった今では最も苦手と季節に変り果てました。暑さが身に沁み、堪えます。皆さんも熱中症には十分留意して、この夏を乗り切ってくださいませ。さて、前回と前々回では、オンショアECモデルおよび越境ECモデルの差異をご紹介してきました。
物流面と決済面におけるオフショアEC(越境EC)とオンショアECの違い
オンショアECでは、現地の消費税等の回収と納付はネットショップ側で処理が必要
今日はオンショアECモデルの入門編の”まとめ”として箇条書きにて整理いたします。
1. オンショア(On-shore)ECモデルのポイント
- 法人形態:ターゲット国に法的に有効な現地法人が必要。
- 現地オフィス:原則、恒久的な現地オフィスが必要。
- サイト言語:ターゲット国の母国語とメジャー言語を用意(例:カナダは英語とフランス語が公用語)。
- 決済通貨:ターゲット国の現地通貨。
- 決済方法:国際クレジットカード(VISA,MASTER,JCB等)、PayPal、現地の独自決済方法(日本の例だとコンビニ決済)。
- 銀行口座:ターゲット国内の銀行口座を保有することが必要。
- 税金処理:ターゲット国のVAT(Value Added Tax :付加価値税)やリサイクル費(製品によって)を事業者側が支払う。VATは日本の消費税に該当。
- 輸入者:事業者側の現地法人。ターゲット国への輸入時に関税・輸入消費税・関税事務手数料を事業者の現地法人側が支払う。
- 物流:ターゲット国の倉庫から購入者へ国内配送。日本から現地国の倉庫へは事業者側が国際物流会社を使用してロットで送付。
- コンプライアンス/規制準拠:事業者側がターゲット国での関連規制への準拠に従う必要がある。
- カスタマーサービス:原則、現地語での電話・E-Mail・チャット等での対応が必要。
- デジタルマーケティング:現地の文化やトレンドに合わせたデザイン、メッセージ、キャッチ等を作成。現地においてメジャーなPPC広告、アフィリエイトネットワーク、メディア等を選定することが必要。
2. オンショアECモデルのメリット
【事業者のメリット】
- 現地に最適化されたネットショップなので、越境ECモデルより売上を確実に増やすことができる。
- 消費者の信頼を得ることができる。お客様満足度が越境ECモデルより格段に上がる。
- ブランドを現地で構築しやすい。
- 肌感覚で消費者の動向を感じることができ、製品開発やサービス開発にフィードバックできる。
- 現地独自の決済方法もサポートするので、決済時のコンバージョンレートが上がる。
- 現地にあったキャンペーンを張ることができる。
- 適切なマーケティングを実行できる。
- 現地のパートナーのアライアンスやコラボレーションをしやすい。
- 現地に物理的店舗を出店するよりは遥かにローコストで出店できる。
【消費者のメリット】
- 越境ECモデルに比べて、購入した製品が早く届く(2-3日)
- 越境ECモデルに比べて、トータル金額が安い。(関税の支払い不要、海外配送ではなくなるので)
- 自国の通貨で決済できる。
- 国際クレジットカードだけでなく、自国独自の決済方法が使用できる。(デビットカード、WebMoney、代引き等)
- カスタマサービスが電話とメールで用意されており、自国語で会話ができて安心。
- 返品および返金処理がスムーズ
3. オンショアECモデルのデメリット
【事業者のデメリット】
- 越境ECモデルに比べて、ネットショップ初期構築コストがかさむ。
- 越境ECモデルに比べて、開店までに時間がかかる。
- 越境モデルに比べて、開店後の運営コストもかかる。
- 海外現地法人・現地オフィスを開設する必要がある。
- 海外で現地銀行口座を開く必要がある。
- 海外の現地国内販売においては準拠が必要な規制については、準拠する必要がある。(サプリメント販売等)
- 輸入時の関税や輸入消費税等を支払う必要がある。
- 製品や国によっては、現地の国内販売に必要なライセンスを取得する必要がある。
- 現地で倉庫も持つ必要がある。(あるいは借りる)
【消費者のデメリット】
- 特にありません。基本メリットのみです。あえて言うなら、事業者の本国よりも品揃えが少なくなる可能性はあります。
今日はここまでとします。越境ECモデルよりはコストと手間がかかりますので、オンショアECモデルを採用するときは、”本気モード”です。現地に最適化されたネットショップになりますので、越境ECと比べてリターンが確実に大きくなります。越境ECではよほど製品力が強くないと成功が難しいと以前の投稿で申しましたが、オンショアECであれば、現地で似たような製品があったとしても、差異点や優位点が多少でもあれば、デジタルマーケティングやオフラインマーケティングを駆使して、市場を発掘することは十分できるでしょう。一言でいうと「越境ECはテストマーケティング向け、オンショアECは本格派向け」ということになります。