30 May 2015

こんにちは。5月11日~13日@東京ビックサイトで開催されました「通販ソリューション展2015年春」に行ってきました。この展示会はEC業界のビックイベントのひとつで、毎年春と秋に開催されます。EC関連事業者が400社以上出展し、多彩なセミナーも開催されました。筆者は情報収集のため参加してきまして、今回の投稿では気になった越境・海外EC関連の製品やサービスをご紹介したいと思います。
昨年よりも越境EC関連のサービスやソリューションを展示する出展者が格段に増えたなぁというのが正直な感想です。EC関連の主要メディアでは「2015年が越境EC元年」と謳っておりますが、本展示会でも実感ができました。昨年までは、この分野での出展者は2,3社程度だっと思いますが、通販ソリューション展ではざっと見ただけでも20社くらいはあったと思います。越境ECや海外向けECをサポートする様々なソリューション(決済、物流、翻訳、コンサル、デジタルマーケティング、ECアプリケーションソフト、運営代行等)がどんどん開発されて、市場に投入されるとショップオーナー側も積極的にやってみようということになると思うので、今後も素晴らしいソリューションがリリースされることを個人的にも期待しています。これから急速に伸びる分野ですので、ベンダー側にとっては大きなビジネスチャンスです。
さて、今回の展示会で気になった越境・海外EC向けのソリューションを簡単にご紹介します。
1. 海外販売向けに対応した多言語・多通貨対応のショッピングカート – Live Commerce
多言語(英語・中国語・韓国語・タイ語・日本語)と多通貨(JPY・USD・EURO・CNY・GBD)に対応したクラウドベースの越境ECサイト構築システムです。決済はPaypalとクレジットカードに対応し、物流系では国際EMSの送料自動計算システムがあります。その他、商品検索・アカウント管理等のフロント機能、注文管理・クーポン・顧客管理・商品管理・サイト管理機能も充実しています。オプションで翻訳サービスもあります。価格も非常に魅力的で、半年で6,000円からスタートできます。アパレル、コスメ、スポーツなど幅広い業種で実績があるようです。
2. 機会+人間を組み合わせた翻訳システム – ヤラクゼン
海外向けECサイトでの多言語対応は必須であることは当然ですが、翻訳の質が極めて重要です。海外の消費者から信頼を得ることができるか、まずここで判断されます。翻訳の質を上げようとすると、プロフェッショナルな翻訳者に依頼することもなり費用が高くつきます。ヤラクゼンでは、「機械+人間のアプローチで成長していく翻訳システム」という手法をとり、利用者専用の翻訳データベースをもとに機械翻訳を行い、それを翻訳者がダブルチェックします。人が修正した翻訳データは、翻訳データベースに自動蓄積されますので、利用すればするほど作業の効率性・翻訳の品質が向上していきます。コスト・品質・効率にバランスが取れた新しい翻訳ソリューションです。
3. 関税元払いに対応してくれる国際EMS(UGX) – 日本郵便
越境ECモデルを説明した投稿では、対象国の輸入時に海外の購入者自身が関税等を支払う必要があると紹介しました。UGX(ゆうグローバルエキスプレス)は関税の元払い、つまり、日本で運営しているEC事業者側で関税負担ができる配送サービスです。日本郵便が関税を立て替えて支払い、月に1回、EC事業者側に立て替えた金額の請求が行くというスキームになっています。よって、EC事業者側はネットショップ上で関税分を決済時に徴収することになります。海外の購入者に関税を支払わせる仕組みは、越境ECにおいて非常に大きな課題ですが、UGXはそれを解消してくれる素晴らしいサービスです。UGXで扱うことができない製品や対応できない国はありますが、かなり幅広くカバーしています。
4. クレジットカード外貨決済サービス – ソニーペイメントサービス
越境ECのネットショップ価格表示および決済は国際基軸通貨である、「USD・EURO」を選択されるケースが多いかと思います。USD・EUROが使用されない国においては、消費者は自国通貨で決済するわけですが、USD・EUROに変換されて決済されますので、為替の変動リスクや為替手数料を負うことになります。ソニーペイメントサービスでは約150の外国通貨に対応しており、海外の消費者は自国通貨で直接購入することができるようになります。つまり、為替リスクや手数料負担がなくなるので、海外の消費者にとっては嬉しいサービスです。ソニーペイメントサービスからEC事業者への支払いは円建てでやってくれますので、安心です。今後の越境ECで必要になってくるサービスかと思います。
5. 台湾通販代行 台湾現地企業がサポート – セルマ・インターナショナル
台湾に本社を構えるECのアウトソーシングサービスプロバイダーが提供するソリューションです。越境EC型ではなく、「オンショア型EC」をサポートします。台湾に最適化したネットショップを構築することができます。ECシステムの開発から中国語でのコールセンター/カスタマーサービス、台湾でメジャーな決済方法への対応、現地の倉庫・物流機能の提供、台湾で最適なメディアを使用したデジタルマーケティング等、Eコマース運営に必要な業務をすべて代行してくれます。前回までの投稿で「越境ECはテストマーケティング的に、オンショア型は本格展開する時に」と申しましたが、それを実現してくれます。中国向けオンショアECモデルも一部可能なようです。
6. 日本食品輸出ソリューション – 日本通運
日系物流企業の最大手である日本通運が提供する食品特化型の海外配送サービスです。食料品とくに生鮮品のECは日本国内でも流通において特別な配慮を実装することが必要ですが、海外向けにはなおさら特別な対応が必要です。日本食品の素晴らしさは海外に伝播しており、需要も非常に高まっていることは周知の事実です。日本通運はクール&コールドチェーンを実現する最新の特殊輸送技術を使用して、鮮度を保ったまま海外への配送を実現しています。現在の対象国は「香港・台北・シンガポール・バンコク・ホーチミン・クアラルンプール・ジャパルタ」で運用しています。小ロットではなく中~大ロットが適しているかと思いますので、B2B EC向けなのではないかと推測します。
越境・海外ECをサポートするサービス・製品・ベンダーは今後も随時ご紹介したいと思います。終わり。